『LAZARUS ラザロ』原作はある？ジョン・ウィックや世界的音楽家が集結した理由

新作アニメ『LAZARUS ラザロ』に注目が集まっていますが、多くの視聴者が気になるのは「原作が存在するのか？」という点です。

圧倒的なビジュアルと緻密な世界観、そしてジョン・ウィックの監督や世界的音楽家たちが制作に関わっているという情報から、何か原作があるのではと感じた方もいるでしょう。

本記事では、『LAZARUS ラザロ』に原作があるのかを明確にしつつ、なぜこのプロジェクトに世界のトップクリエイターたちが集結したのか、その理由を解説していきます。

『LAZARUS ラザロ』に原作は存在しない

『LAZARUS ラザロ』は、既存の小説や漫画をもとにした作品ではなく、完全オリジナルアニメーションです。

監督の渡辺信一郎氏自身が企画から関わり、構想段階から独自に作り上げられた世界観とストーリーが展開されています。

以下では、なぜ原作が存在しないのか、そしてなぜあたかも原作付き作品のような完成度を誇っているのかを解説していきます。

完全オリジナル作品である理由

本作は、米国の出資により制作された企画であり、「原作のない完全新作として生まれたプロジェクト」です。

制作のスタート時点で、小説や既存IPの存在はなく、渡辺監督がゼロベースで構築したオリジナル設定に基づいています。

特に注目すべきは、現代の社会問題から着想を得たプロットと、それを実現するための世界観です。

構想段階から監督主導で制作された背景

この作品はアメリカのカートゥーンネットワークからの「SFアクションを自由に描いてほしい」という依頼に基づいて始まりました。

その際、渡辺監督が最初に着想したのが、未来を脅かす鎮痛薬「ハプナ」のアイデアでした。

この発想を軸に、舞台設定・キャラクター・ストーリーが一貫して構築され、脚本チームとの共同作業で13話構成のシナリオが作られました。

ジョン・ウィックの監督がアニメに参加した理由

アニメ『LAZARUS ラザロ』には、映画『ジョン・ウィック』シリーズで知られるアクション監督チャド・スタエルスキ氏が参加しています。

実写映画界の第一線で活躍する人物がアニメーション制作に関わるのは極めて珍しく、その理由に関心が集まっています。

ここでは、彼がなぜこの作品に参加することになったのか、その背景と狙いを紐解きます。

アクション演出で求められたリアルさ

渡辺監督は今回の作品において、「リアルなアクション表現」を重視していました。

特に、パルクールを取り入れた動きや、建物間を跳躍するような肉体的アクションをアニメでどう表現するかが課題でした。

そのため、スタエルスキ氏にアクション監修を依頼し、実際にスタントマンを用いたムービーを制作・提供してもらうことで、現実的な動きの参考としました。

過去作へのリスペクトと個人的な動機

スタエルスキ氏は、もともと渡辺監督の作品のファンであることを公言しています。

特に『カウボーイビバップ』『サムライチャンプルー』に強い影響を受けており、その恩返しの気持ちで本プロジェクトに参加したと述べています。

このように、商業的な契約以上にクリエイター同士のリスペクトが原動力となっている点は、本作の特異性といえます。

音楽面での世界的アーティストの参加背景

『LAZARUS ラザロ』では、音楽も映像と並ぶほど重要な要素として位置付けられています。

この作品には、カマシ・ワシントンやフローティング・ポインツ、ボノボといった世界的音楽家たちが参加しており、その選出には明確な理由があります。

ここでは、彼らがどのような意図でこのアニメに関わったのか、そしてその音楽が作品にどのような影響を与えているのかを解説します。

カマシ・ワシントンらの楽曲とその意図

音楽陣の中心には、ジャズサックス奏者のカマシ・ワシントンがいます。

彼が手掛けたオープニング曲「Vortex」は、重厚かつ魂を揺さぶるような演奏で、本作の持つ緊張感や哲学的テーマと深く結びついています。

また、ボノボやフローティング・ポインツといった電子音楽のアーティストも参加し、アクションと音楽の一体化を狙った演出が随所に見られます。

アクションと音楽を融合させた演出方針

渡辺監督は、主人公アクセルの動きを「ダンスのように見せたい」という意図を持っていました。

そのため、緊張感を煽るようなBGMではなく、リズミカルで浮遊感のあるサウンドを採用し、視覚と聴覚の両面からアクションを魅せる設計がなされています。

これは過去の渡辺作品とは異なる新しい挑戦であり、音楽の選定にも明確なテーマ性があることがわかります。

『LAZARUS ラザロ』の物語と世界観の魅力

本作の魅力は、アクションや音楽だけにとどまりません。

舞台となる2052年の近未来社会や、物語に込められたテーマ性には、現代社会への深い問いかけが含まれています。

ここでは、そのストーリー設定と世界観の構造について見ていきます。

近未来社会と危険な薬をテーマにした設定

物語は、万能鎮痛薬「ハプナ」が世界中に普及した後、服用者が3年以内に死亡するという衝撃の事実が判明するところから始まります。

これを受けて、ワクチンの鍵を握る開発者スキナー博士を探すための特殊部隊「ラザロ」が結成され、限られた時間の中で人類の危機に立ち向かいます。

この設定は、医療やテクノロジーが進化した未来に潜むリスクを象徴的に描いたものです。

社会問題を意識したストーリー構造

「ハプナ」の設定は、現実のオピオイド危機やワクチン不信を彷彿とさせ、作品全体にリアリズムと社会批評性をもたらしています。

渡辺監督は、未来の世界を描くにあたり、裕福なエリアと貧困層で分断された都市構造をあえて採用し、貧富の格差や資本主義の歪みもストーリーの一部に組み込んでいます。

このような世界設定により、視聴者はフィクションでありながら現実と重なる不安や共感を覚える仕掛けとなっています。

なぜ原作があるように見えるのか

『LAZARUS ラザロ』は完全オリジナル作品であるにもかかわらず、多くの視聴者が「何かの原作があるのでは」と感じています。

その背景には、設定や演出の完成度の高さに加え、プロモーションやクリエイター陣の知名度といった要素が影響しています。

ここでは、なぜ原作付き作品のように見えるのかを検証していきます。

完成度の高い設定とビジュアル表現

本作では、舞台となる2052年の社会情勢や都市構造、薬物の副作用などが細かく設定されており、SF小説に匹敵するほどの情報量を持っています。

加えて、キャラクターデザインや背景美術、アクション演出に至るまで緻密に構築されているため、「原作が存在していなければ不自然」と感じるほどの完成度となっています。

これは、原作が存在するメディアミックス作品によく見られる特徴と重なり、視聴者の錯覚を誘発している要因のひとつです。

ファンの誤解を生んだプロモーション展開

『ラザロ』の発表当初から、「ジョン・ウィック監督が参加」「世界的音楽家が集結」といった話題性の高い情報が一斉に公開されました。

そのため、映画級の制作体制＝原作付きの大作という印象を与えてしまった可能性があります。

また、公開されたPVやティザー映像に登場するキーワードやビジュアルも、シリーズ作品や海外ドラマ的な雰囲気を持っており、誤解を強める一因となりました。

『LAZARUS ラザロ』原作に関する情報のまとめ

『LAZARUS ラザロ』は、漫画や小説を原作とした作品ではなく、渡辺信一郎監督が主導した完全オリジナルアニメです。

世界的に著名なアクション監督や音楽家が参加していることから、原作付きの大型企画と誤解されがちですが、その完成度は純粋に企画力と制作陣の総合力によるものです。

リアルなアクション、社会的なテーマ、そして音楽と映像の融合によって、原作の有無に関係なく唯一無二の作品体験を提供しています。

あらかじめ原作を読む必要はありません。

まっさらな状態で視聴を始めることが、この作品を最も深く楽しむ方法といえるでしょう。