『薬屋のひとりごと』先帝と皇太后の歪んた関係とは？壬氏の出生の謎と宮廷の秘密を解説

『薬屋のひとりごと』には、宮廷の権力争いや陰謀が複雑に絡み合う背景があります。その中でも、先帝と皇太后（安氏）の関係は、現皇帝や壬氏の運命に大きな影響を与えており、物語の根幹を成す重要な要素の一つです。

先帝は、政治の才能がなく母である女帝の傀儡として生きた皇帝でした。しかし、極端な幼女嗜好を持ち、後宮には幼い少女ばかりを集める異常な体制を築き上げました。その影響は、現皇帝の治世や後宮の在り方にも色濃く残っています。

一方、皇太后（安氏）は、先帝の寵愛を受けて10歳で妊娠し、帝王切開で現皇帝を出産しました。彼女は幼い頃から権力を手に入れるために先帝に近づいたものの、成長した自分に見向きもしなくなった彼に対して強い恨みを抱くようになります。そして、復讐のような形で夜伽を強要し、ある人物を妊娠します。

この二人の関係が、現在の皇帝や壬氏、さらには後宮の勢力争いにどのような影響を与えているのか、本記事で詳しく解説していきます。

先帝とは？女帝の傀儡として生きた悲劇の皇帝

『薬屋のひとりごと』における先帝は、物語の舞台となる茘（リー）の国で、一代前の皇帝です。

彼は本来、皇帝としての器ではなかったものの、異母兄弟が次々と夭折したことで、唯一の生存者として即位することになりました。

しかし、実権を握っていたのは母である女帝であり、先帝自身は傀儡の皇帝として過ごしていました。

母である女帝に操られた統治

先帝は、生まれながらにして「女帝の息子」という宿命を背負っていました。

彼の母である女帝は、下級妃から皇太后へと成り上がり、政治的手腕を発揮して国を支配していました。

そのため、先帝が即位した後も、実際の政は女帝が握っており、彼自身はほとんど決定権を持たないまま過ごしていました。

さらに、女帝は非常に強圧的であり、先帝に対しても畏怖の念を抱かせるほどの存在だったとされています。

幼女嗜好と異常な後宮制度

先帝は、政治の才能を持たないまま成長した結果、後宮において極端な嗜好を持つようになりました。

彼は、成人女性に対して興味を示さず、むしろ幼い少女ばかりを後宮に集めるという異常な体制を作り上げてしまいます。

この背景には、彼が母である女帝に対して強い恐怖を抱いていたことが関係しているとされています。

実際、作中でも「14歳を超えた妃には興味を示さなくなる」という描写があり、彼の嗜好が宮廷内で深刻な問題を生み出していました。

孤独な晩年と「絵」に込められた想い

先帝は晩年になると、自らの後宮政策が招いた混乱や、皇太后との関係の悪化によって次第に孤立していきます。

やがて、彼は自室にこもり、ひたすら「絵」を描くようになりました。

その絵にはある女性が描かれていましたが、それが誰なのかは議論が分かれています。

壬氏は「皇太后の若き頃の姿」だと考えましたが、一方で「母である女帝の影響が色濃く残ったものではないか」という説もあります。

このように、先帝は最後まで孤独な存在であり続けました。

彼が亡くなった後も、彼の作り上げた異常な後宮の体制は影を落とし続け、現皇帝や壬氏、さらには猫猫の関わる事件にも影響を与えています。

皇太后（安氏）の生涯と復讐の行方

皇太后（安氏）は、先帝の寵愛を受けた妃であり、現在の皇帝の母にあたる人物です。

彼女はわずか10歳で妊娠し、帝王切開で出産するという壮絶な運命を辿りました。

しかし、先帝への憎しみと復讐心を抱くようになり、彼女の行動は宮廷の勢力図を大きく変えていきます。

10歳で妊娠・帝王切開で現皇帝を出産

安氏は姉の侍女として後宮に入りました。

彼女の父は野心家で、先帝が幼い少女を寵愛することを知っており、安氏を後宮に送り込んだのです。

そして、彼女は10歳で先帝の寵を受け、妊娠します。

幼い身体では通常の出産が難しく、医官の羅門が帝王切開を施すことになりました。

この出産の影響で、安氏は二度と子を産めない体となってしまいました。

先帝への恨みと復讐の夜伽

成長した安氏は、先帝が自分に見向きもしなくなったことに強い憎しみを抱くようになります。

彼女は、かつての自分と同じように幼い少女たちが次々と後宮に入れられるのを目の当たりにし、絶望します。

そして、先帝に強引に夜伽を強要し、その結果、妊娠します。

この時生まれた子供こそが壬氏ではないかとされています。

診療所設立と後宮での影響力

安氏は、先帝の影響で後宮に取り残された少女たちを救うため、秘密裏に診療所を設立しました。

これは、先帝に寵愛されながらも妊娠しなかった女性たちが、後宮から出られずに一生を閉じ込められる運命にあったためです。

この診療所の存在が、後に猫猫の事件解決にも影響を及ぼすことになります。

壬氏の出生に隠された秘密

壬氏は皇帝の弟として育ちましたが、実は皇太后の子ではないのではないか？という疑惑があります。

それは、彼が皇帝の実子であり、阿多妃の子である可能性があるためです。

本当に皇太后の子なのか？

壬氏は、安氏が産んだ子供とされていますが、阿多妃の子供と入れ替えられた可能性が高いのです。

これは、阿多妃が出産時に難産で二度と子を産めない体になったことと関係しています。

阿多妃との子供入れ替え疑惑

安氏は、先帝との間にできた子供を愛せず、阿多妃もまた、自身の子供が軽視されることを恐れていました。

そこで、二人は密かに子供を入れ替えたのではないかと推測されています。

壬氏が阿多妃に似ていることや、皇帝が彼を特別視する理由は、これで説明がつきます。

皇帝が壬氏を皇位に就けようとする理由

現皇帝（僥陽）は、壬氏を次期皇帝にしたいと考えています。

これは、壬氏が本来の東宮（皇太子）である可能性が高いためです。

しかし、壬氏自身は皇位を望んでいません。

この対立が、今後の物語の展開に大きな影響を与えていくでしょう。

まとめ：先帝と皇太后の因縁が宮廷の未来を左右する

先帝と皇太后の関係は、単なる主従ではなく、愛憎が絡み合った複雑な因縁を持っていました。

先帝は女帝の傀儡として生き、幼女嗜好という異常な体制を作り、晩年は孤独に死んでいきました。

皇太后は復讐心を抱きながらも後宮を守る立場を取り、診療所を設立するなど、自らの意思を貫きました。

壬氏の出生の秘密が明らかになれば、宮廷の勢力図が大きく変わる可能性があります。

果たして、皇帝の狙い通りに壬氏が皇位に就くのか、それとも違う未来が待っているのか……。

『薬屋のひとりごと』の今後の展開に注目です。